気分変調症
気分変調症について
前述の気分循環症が躁うつ病の軽いものだったのと同じように、うつ病の軽いものと考えていただいてかまいません。しかし、うつ病に比べて慢性的な経過をとります。うつ病が一日のうちに調子の良いときと悪いときがあるのと反して一日中抑うつ気分が続きます。またうつ病のように思考が止まったようになり感情がなくなる・・・ということはなくイライラとした感情が続き、不平不満を周囲にもらします。また周辺環境のストレスが原因であることが多く、ストレスが解消すればうつ状態も一時的に改善します。しかし改善状態は2~3週以内ですぐに別のことがストレスになり抑うつ状態となります。この状態が2年以上続きます。
大雑把に言うと「軽い」けど「慢性的」なうつ病です。「軽い」・・・ですが問題は脳の病気ではなくこころの病気であり薬が効かないことが多いです。「軽い」ですが「慢性的」に長く続くため社会的、職業的に予後は不良です。治療開始してから1年で完全に治るケースは10%くらいで25%の方は生涯治療が必要となります。もちろん25%の方も治療を受けていただいたほうが、症状は格段に和らぎますので治療が無意味というわけではありません。
20~25歳までに発祥していることが予想されますが「軽い」ために受診までに10年以上かかることもまれではなく、その病率は不明ですが、うつ病と同じく男性よりは女性に多いといわれています。まれな病気ではなく一般精神科診療所を受診する方の3分の1以上がこの疾患だとも言われています。
遺伝子的にはうつ病と同じであるという意見もありますが反対意見もあります。私見ではうつ病が「脳の病気」であるのに対して気分変調症は「こころの病気」の側面が強いと思います。「脳の病気」の側面が弱いために薬物療法が効きにくいというわけです。
気分変調症の治療方法
性格の問題ではなく病気ですので治療が必要です。まずはうつ病と同じ薬物療法を開始します。薬物療法に関しては「うつ病の治療方法」をご覧ください。しかしうつ病よりも軽症であるにも関わらずうつ病よりも薬物療法は効果が低いことが多いです。しかし全く効果がないわけではありません。不安を軽減したり、不眠を改善したりすることができます。
病期が長いのでストレスに敏感なことをご自身の個性と考え、全てを改善することを目指すのではなくストレスに弱いご自身を理解しながら、少しずつ考え方を変えていくように指導します。