適応障害
適応障害について
診断基準では「ストレスにより引き起こされる情緒面や行動面の症状で、社会的機能が著しく障害されている状態」と定義されています。このストレスとはPTSDなどのように生命を脅かすような極限状態ではなく、借金が返せない、職場のストレス、家族が病気になったなどの日常で起こりうるストレスにより、抑うつ気分・緊張・不安が引き起こされます。ストレスからのうつ病と診断されていることが多いです。私も患者さまには「うつ病」と説明します。なぜなら、うつ病の前段階と考えているからです。しかし、うつ病と異なりストレス環境から離れると途端に良くなります。職場のストレスが原因であれば、休みの日は症状は全く出ません。うつ病であれば、休みの日でも仕事の日でも抑うつ状態が続きます。
適応障害の治療方法
病気説明でもお伝えしましたように「適応障害」は「うつ病」と違い、環境を改善すること、つまり、ストレスを除去することで症状は改善します。しかし、それが仕事上の問題や経済的な問題、または家族の問題などの場合は除去することは難しく、うつ病に進展してしまうこともまれではありません。ストレス環境の除去が治療の第1選択ですが、それができない場合は症状に合わせて抗不安薬や抗うつ薬を使用します。不眠が出現していれば睡眠薬も処方します。しかし、これらは根本治療ではなく対症療法でしかないので、一部の症状が柔らぐのみです。もちろん患者さまにとってはそれも救いになるのですが、ストレス環境がある限り症状が完全になくなることはありません。薬物療法だけでは効果が低いため、これと決まった薬物療法のマニュアルはありません。また、ご自身の本来の性格や考え方が発症に大きく影響しますので、カウンセリングなどで、「敏感な考え方」を「ストレスに反応しないような考え方」に変えていくようにも指導します。