双極性障害(躁うつ病)の気分(安定)調整薬

躁うつ病の治療の中心となる薬剤です。『躁』と『うつ』を安定化させる薬です。真逆の症状が出現するので、気分を上げるだけの薬や下げるだけの薬は症状を悪化させる原因にもなるので、注意が必要です。その気分安定薬は「安定」と名がついているように、激しく上下する気分の波を穏やかな波にするようなイメージで効果を発揮します。

 

1.リーマス(リチウム)
教科書的には第1選択薬とされている薬剤です。うつ状態にも効果があるとのデータもありますが主に躁状態に効果を発揮します。
しかし、私にとっては第1選択薬ではなく、他の気分調整薬で効果がないときに使用する第3選択薬以下の位置づけです。その理由は、急な躁状態では間に合わないことや、少なすぎると効果がなく、多すぎると中毒になりやすいため、マメに血中濃度を測定する必要があり、患者さまへの負担が大きいと思うからです。

 

2.デパケン(バルプロ酸)
元はてんかんの薬です。躁状態に効果がある薬です。予防薬としても効果がありますし、急な躁状態にも効果を発揮することがあります。
リーマスのようにマメな採血は必要ありませんが、肝臓への影響もある薬剤なので年に数回の採血は必要でしょう。

 

デパケンR(200mg) 1錠から開始して1週間毎に1錠ずつ増量し6錠まで増やすことができます。うつ状態への効果も報告されてますが、どちらかと言えば躁状態に効く薬です。混合状態(躁とうつが入り混じったイライラの強い状態)の患者さまにも有効です。

 

3.ラミクタール(ラモトリギン)
これも元はてんかんの薬です。うつ状態には第1選択薬かと思います。反面、躁状態には全く効果がありません。よって、躁状態への薬を併用する必要があります。しかし、抗うつ薬のように躁状態に悪化させる(躁転と言います)がないので、使いやすい薬かと思います。しかし、皮膚症状の副作用という独特な副作用があるので要注意です。副作用が出ないように徐々に増やす必要があります。
維持期にも使用できる薬なので、うつ状態が治まっても症状にあわせて増減をする必要はありません。

2014年12月18日