認知症(軽い物忘れも含みます) 鎮静薬

攻撃性の強いFTD(前頭側頭型認知症)に限らずAD(アルツハイマー型認知症)でも攻撃性が高まることはまれではありません。家族や施設の介護者が一番困って入院相談となるのがこのケースだと思います。まずは抗認知症薬は更なる興奮を引き起こしますので使用せず穏やかになっていただくことに専念します。

 

1.グラマリール
効果は鋭くないですが安全性が高く、高齢者には第一選択薬かと思います
グラマリール25mgからスタートして150mgまで使用します
効果がみられて落ち着かれてから抗認知症薬を処方します。AD(アルツハイマー型認知症)やVD(血管性認知症)でよく使います

 

2.セロクエル
抗精神病薬ですが短時間作用のため高齢者にも使いやすい薬です
糖尿病患者には使用できません
眠気の副作用が強いため転倒に注意が必要です。
セルクエル25mgからスタートして200mgまでは使用可能です

 

3.リスパダール液剤
抗精神病薬です
作用時間も2日以上あるので使いすぎに注意です
外来での高齢者には4mgまでかと思います
錠剤や粉剤もありますが副作用の少ない液剤を使用します
DLB(レビー小体型認知症)には副作用が強くて使用できません
FTD(前頭側頭型認知症)の興奮を落ち着かせる際に使います

 

4.コントミン
抗精神病薬です
12.5mgからスタートして75mgまでは使うことができます
鎮静がかかりすぎることがあるため注意が必要です
嚥下障害(むせる・喉を詰まらせる)が出てきたら中止です
FTD(前頭側頭型認知症)の興奮を落ち着かせる際に使います

 

5.抑肝散
今回説明した認知症のなかではDLB(レビー小体型認知症)に効果があります
幻視などにも効果が出ることもあります
その他の認知症に対しては第1選択薬の鎮静薬ではありません
低カリウムの副作用がよく起こるので数ヵ月毎の採血が必要です

2014年11月27日